BDA GALLERY 2 : 頑張りなさい!

2017/02/13

頑張りなさい!


















I-405 South

歯科医院を辞める時は、かなり前もってその旨を伝えてありましたね。
理由は、アメリカに行きたい!と思ったから。
まだ何も決まってはいませんでしたが、心の中でそう決めたから。

恐らく止められてもその思いは変らなかっただろうし、
やりたい事への犠牲は、すでに払っていました。

辞める1年も前だったと思います。

そして、この恵まれた環境を引き継いでもらえる後任をと、
辞めるにあたり、できるだけ歯科医院には迷惑をかけないよう、
母校でもあった専門学校へご挨拶も兼ね出向き、頭を下げたのを覚えています。
学校側から紹介されたのは、春にも卒業予定の優秀な学生さん。

これで安心して3月いっぱいで辞める事ができる。

年をまたぎ1月。3月いっぱいでの退職、引き継ぎの報告もかね、
新年を迎えたばかりの院長室をノックした。

そうか、いいじゃないか。

院長先生のその言葉は、想像していたよりもあっけないものでしたが、
経営者となった今の自分なら、少しわかる気もしますね。

必ず帰って来い!と言われていたなら、
若かった自分は1年後、またそのドアを叩いていただろうか。

もうダメだと思った時、帰る場所がそこにあると思えば、
志し半ばで日本に帰国する事も容易くできただろう。

都合のいい言い訳を土産に、自分を甘やかし、
あの楽しかった場所に居場所を求めてしまっただろうか。

米国で掴めたかもしれないチャンスでさえ、
帰らなければ!と思い悩んでしまったかもしれない。

しがらみでダメにならないように。

短い間でしたが歯科医院での数年間、研修に参加する為の費用や、
渡米決断後の各週末コースでさえ、費用の一部を負担していただき、

期待されていたのは十二分に感じていましたね。

決意の上、去る者にとって、期待ですら負担に感じる事があるということ。
ましてや、後ろ髪を引いてしまうような言葉など、必要ない。
その部屋を出る直前、背中越しにかけられた言葉がいまでも心に残る。

頑張りなさい!

小さな声でしたが、はっきりと。
締まり行く扉にはばかれその表情まではわかりませんでしたが、
それが院長先生の優しさだったんだと気が付くまでに、

少しばかり時間がかかってしまいました。

無礼ゆえ疎遠になっていますが、本当に感謝していますね。
自分のルーツはここにあると信じています。
ここでの4年間があったからこそ、今の自分があると。

職人の道は、なかなか満足する事のできない、悩ましい道。

納得のいく歯を作れるようになるにはまだ時間がかかりそうですが、
その時にはまた、その扉をノックし、頭を下げれるように。

頑張りますよ。

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