2017/02/09
たわいもない一言
LAX Tom Bradley International Terminal, CALIFORNIA
海外を意識したのは、とくにアメリカを意識したのは、
一番最初にお世話になった歯科医院の院長先生からのたわいもない一言。
専門学校を卒業し、都内の有名な歯科医院に勤めて数日後、
スタッフ全員によるたった一人の新入社員のための歓迎会が盛大に行われた。
社会人となり右も左も分からない自分が緊張しながら一言挨拶を終えると、
院長先生が真向かいの一番奥の席から。
「君は今いくつだ?」
「二十歳です。」
「そうか、若いなぁ。君は若いんだからアメリカに行って修行してきたらいい。」
「えっ! あっ、はい。」 アメリカ?
私、主役ですよね、本日の。
あろうことか、先程ここで唇を振るわせながら頑張る!と宣誓したばかり。
腰が砕けるような思いで着席したのを覚えていますね。
当時はまだ終身雇用なんて当たり前の時代でしたし、父もそうでした。
勤続年数が誇りになるようにと、そう背中を押されて飛び出した社会。
まだ石膏すらろくに盛れない有り様を見て、修行してこい!
そう言われたものだと。なんだかいきなり見放されたように感じ、
軽くショックを受けた二十歳の夜。
お酒でほんのりと頬を赤らめた院長先生がどの程度本気で言ったのか、
たわいもない一言だったのか、当時の私が知る由もないのですが。
アメリカで修行。その言葉がどこかに残っていたのでしょう。
アメリカってそんなに凄いのか?素朴な疑問でした。
でも、その一言が無かったらまったく意識しなかっただろうし、
それからの私が雑誌等で目にすることとなる著名な歯科技工士の方々は、
海外を経験しておられる方が多かったのも事実です。
あの一言が無かったら . . . と。
院長先生には今でも心から感謝していますね。
そしてそんな素朴な疑問も、
5年後には目で見て、肌で感じることとなる訳です。
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