2012/10/17
花束を
先日、日本に一時帰国した時、
先延ばしになっていた母親の還暦祝いを行いまして。
親孝行というには、いまだ世話になりっぱなしの立場でおこがましいんですが。
口では言い表せないほど、母親とはいろいろありましたからね。
どんな時も真剣にぶつかってきてくれ、真剣に怒ってくれたこと。
どんな時も一人じゃないという事を教えてくれたのは母でしたね。
こんな俺のために何度も何度も頭を下げ、時にじっと堪えて見守ってくれた。
自分だけは味方だといつも体を張って伝えてくれてたな。
なかなか照れくさくて言えませんが、本当に感謝しています。ありがと。
中三の頃だったかな。夜、路肩に車を止め車内で二人。
俺はうつむき、抑えきれない涙を必死に堪えてた。
顔は見れなかったが細く震える声。母もまた泣いていたのだろう。
その後の長い沈黙が今でも忘れられない。
「そんな事あったっけ、不思議といい思い出しか残ってないものね!」と。
大人になった息子に、多少老け小さくも見える母が相変わらずの笑顔で言う。
迷惑をかけたこと、心配をかけたこと、泣かせたこと、恥をかかせたこと。
俺はちゃんと覚えています。
そんな母が新しい服を買うのは、決まって学校行事の時。
運動会、授業参観と発表会の時ぐらいだっただろうか。おそらく年に数回。
それも上だけだったり、下だけだったり。それでもすごく嬉しそうで。
いつでも自分より我が子。そういう人。
自分が親になり、子供との接し方で悩む事はあまりない。
親の愛ってこういう物だと、良い見本がいつも心の中にあるからかもしれない。
父親とは違い、普段そばにいて嫌でも接する事の多かった母。
気が付けば、自分の中にある芯の部分は母親からの影響だと実感する事は多い。
切り花はなんだか可哀想だと、あまり贈ったことがない。
母親に贈る花束は記憶にある限り、人生で初めて。
還暦を迎えた母へ、せめてもの気持ちです。
そばに居て何かしてやれるわけでもない。
いつ本当の親孝行らしいことをしてやれるかわからない。
こんなんだから、なかなか安心させてやれない。だから . . .
長生きしてみろこのヤロウ!
またいつの日か贈るであろうバカ息子からの花束を、
心のどこかで期待しながら待っていて欲しい。そして、
いつまでも変わらぬ笑顔で受け取ってくれたら嬉しい。それが今の願い。
明日はそんな母の61歳の誕生日。心からおめでとうを。
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