2012/04/14
雨
West Los Angeles, CALIFORNIA
昨日、冷たい雨が降り続いたロサンゼルス。
雷がゴロゴロと鳴り、霰が降る。春の嵐のような一日でした。
今日は思いっきりロサンゼルスらしい快晴。 空気が澄んでいて気持ちがいい。
そして、雨といえば思い出すことがある。
ロサンゼルスで出逢った親友との雨の日のドライブ。
当時、彼は日系のラボで働いていた同い年。
その日、$900で買った彼のオンボロ車で買い物に行った帰り、
珍しく雨がパラパラと降り始めた。
アメリカの高速道路はあまり整備が行き届いていない。
無料だから仕方ないのだが、道の真ん中にタイヤぐらいは当たり前。
バンパーが転がってたり、一度見たことがあるのはソファ、あと冷蔵庫。
路面に大きな凹みがあったり、オイルが漏れたまま走っている古い車も多く、
雨の日は特に路面が滑りやすく危険だ。
そして、デンジャラスドライブは始まった。
しばらくすると男二人の熱気は窓を曇らせた。
「なんか見えにくくね?」
「そうだな。」
エアコンをオンにする親友。
その瞬間、カビ臭い空気とともにフロントガラスは真っ白け。
「うわー、何も見えねぇー!」
エアコンが効く前に湿気た空気が吹き出たらしい。
慌てて素手でこするも、曇りは容赦なく視界を奪う。
「見えねーぞまじで!!!」
フロントガラス越し、通り過ぎる車にめいっぱい手を振る陽気な二人組。
. . . にも見えたでしょうか。本人たちは必死です。
ようやくエアコンが効き始めて、曇りはだんだんと晴れてきた。ホッと
しかし雨は容赦なく降り続く。家路はまだまだ遠い。
今度はエアコンで完全に冷え切った車内。口数も減っていた。
視界は最悪。かすかに見える前の車のブレーキランプが光った。
と同時にすごい音と、バケツをひっくり返したような豪雨。
「うわー!すげーぞ、なんなんだこの雨!!」
彼はワイパーを全開に。こんな時のワイパーなどあまり意味がない。
目の前をものすごい速さで行き来するワイパー越しに、
前を走る車を見失わないように必死で連いて行く。
バケツをひっくり返したような雨の勢いは一向に止む気配がない。
ワイパーがこれでもかと言わんばかりに振れ . . . その瞬間、
バキッッッ!!!
目の前でワイパーがクロスしたまま止まった。
一瞬何が起こったのか、二人は顔を見合わせた。
『ゔわぁぁぁーーーーーーーーーー!!!』
「どうすんだ、おい!」
「どうもこうも、お前窓開けて直せや!」
「外はどしゃぶりだぞ!」
「いいからやれっ!」
手動のノブをくるくる回し窓を開け体を伸ばすも、
ぎりぎりのところで届かない。数秒で半身、車内もビッショビショ。
「お前ちょっとやってみろよ!」
「あほか、運転してんだぞ!」
「そっちからなら届くかもしれん、ハンドル持ってやるからやれ!」
アクセルを踏みながら伸ばせる手など、たがが知れていた。そう、知っていた
がっちりとクロスしたワイパーは、ちょっと引っ張ったくらいでは外れない。
数秒で半身、車内もビッショビショ。いっちょあがり!
「だから無理って言ったろー!」
「そもそもお前がこんなボロイ車乗ってるからだろーが!」
「おまえが車持ってねーのが悪いんだろー!」
「つうか、普通こんな事になるかぁ!」
「あんだと、コラー!!」
「あほか、ボケー!!!」
.
.
.
狭い車内、一人は右半身ずぶ濡れ。もう一人は左半身ずぶ濡れ。
そんな二人の目の前には大きなX印。容赦なく効きまくるエアコン。
相変わらず打ち付ける雨音は鉄板をも凹ませるかの勢いで車内に鳴り響いていた。
家に着く頃、ようやくいつものような青空が顔を出してたな。
若き日のオイラたちを、まるであざ笑うかのように。 チャンチャン。
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