2月14日。もともとあまりいい思い出はないが、
きっと忘れられない日になる。
待ち焦がれたボーナスを片手にペットショップをはしごしていた当時、
どの子もみんな愛らしくて。結局、肩を落として帰る日々。
決めかねていた。
そんなある日。何軒目だっただろうか、
あいつは狭いゲージの中をくるくるくるくる。
ピタッとこっちを見ては、またくるくるくるくる。
目が合ったその瞬間に、この子だと思った。
名前はチロ。
最初は違った。
今思えば、ぴったりのネーミングだと。
よちよちころころと後ろからついて歩いてたっけ。
登りきった階段の上、降りられないから抱っこしてくれと吠えてたっけ。
人が食べるものが大好きで、いつも鼻を鳴らしてたっけ。
散歩の時はなぜかマンホールをよけて歩いてたっけ . . .
ピンと立った耳も、 片足だけ履いた白い靴下も。みんなお気に入り。
アメリカに来てからというもの、数年に一度会えるかどうか。
それでも覚えていてくれた。尻尾を振って迎えてくれた。
そして去年の夏。
もう、昔のようには走れない、昔のようには戯れ合えないけど。
あどけなさが残るその表情はあの頃のままだったな。
16年と半年。 人で言えば 82、3歳。あの夏、会えて良かったよ。
お義母さんをよろしく。
そんな約束を精一杯、命の限り果たしてくれたようで。
お疲れさま。ありがとな。
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